「トマトの茎がなかなか伸びていかない」「成長が止まって茎が縦に裂けてしまった」
トマト栽培中に『異常茎』という上記のような症状が出ることがあります。
茎が縦にさけて穴があき、八の字のように見えることから、『めがね』と呼ばれることもあります。
異常茎は家庭菜園でも発生しやすく、発生してしまうと、トマトが生育しなくなってしまう可能性があるのです。
茎が縦に裂けてしまう異常茎(めがね)の症状が出ているのなら、本記事を読んで、詳しい症状や原因、対策について理解しておきましょう。
- 異常茎の症状
- 異常茎が発生する原因
- 異常茎を発生させないための予防方法
- 異常茎が発生した時の対処方法
- 異常茎が発生しやすい時期
- トマト農家の私自身、トマトの栽培中、異常茎に悩まされてきた経験あり
- 予防や対処方法を実施して、異常茎の抑制と改善に成功
トマトの異常茎(めがね)の症状
トマトの異常茎が発生すると、下記のような症状が見られます。
- 生長点付近の節間が詰まる
- 茎が斜めに折れ曲がる
- 茎が縦に裂ける
- 茎の生育が遅くなる
- 異常茎が発生した部位は果実が付きにくい
生長点付近の節間が短く詰まり、茎が斜めに折れ曲がるのは、まだ発生初期の症状です。
症状が進行すると、斜めに曲がった部位が縦に裂け、茎がなかなか伸びていかなくなってしまいます。
異常茎が発生した部位のすぐ上の花は、落ちてしまったり、咲いても実が付かなかったりするので、1段分は収穫できなくなると思っておいた方がいいです。
また、症状がさらに進行してひどくなると、「芯止まり」という症状にもなる可能性があります。
続いて、異常茎が発生する原因について解説していきます。
トマトの異常茎(めがね)が発生する原因
トマトの異常茎が発生する原因は、下記の通りです。
- 肥料が多い(樹勢が強い)
- ホウ素不足
- 日照不足
- 高夜温
上記の原因について、順に解説していきます。
1.肥料が多い(樹勢が強い)
トマトの異常茎は、窒素を多く含んだ肥料を与えすぎて、使いきれない窒素が生長点付近に溜まることで発生します。
窒素を使いきれないくらい与えているときは、樹勢もかなり強くなっていることでしょう。
肥料が多くて使いきれず、樹勢が強いときは、異常茎がいつ発生してもおかしくない状況なのです。
2.ホウ素不足
ホウ素の不足によっても異常茎が発生しやすくなりますが、ホウ素が足りないというより、根から吸えていないことが多いです。
土の中にホウ素はあるのに、窒素を含んだ肥料を与えすぎたことにより、ホウ素の吸収を邪魔してしまうのです。
ホウ素不足は結果的に、先述したような、窒素が多すぎることが原因になっています。
3.日照不足
異常茎は、使いきれない窒素が生長点付近に溜まることで発生すると先述しましたが、日照不足も窒素が余ってしまう原因になっています。
トマトは、根から吸いあげた窒素を、光合成で体を活発に動かすことで消費します。
日照不足だと、光合成もあまりできず、吸い上げた窒素を消費することなく余らせてしまうのです。
光合成があまりできないことで、窒素が余って異常茎の発生に繋がってしまいます。
4.高夜温
高夜温でも異常茎は助長されます。
天気の悪い日は雲がかかり、地熱が空に逃げていかないので、夜温も高くなる傾向にあります。
先述した日照不足と高夜温は、同時に発生しやすい原因なのです。
トマトの異常茎(めがね)を発生させないための対策
前の章で解説した、トマトの異常茎が発生する原因を元に、異常茎を発生させないための対策について解説していきます。
異常茎の発生を抑える、具体的な対策は下記の通りです。
- 悪天候が続く時は肥料を控える
- 梅雨時期は硝酸態窒素を含む肥料を使う
- ホウ素を含む肥料の葉面散布を行う
それぞれの対策を順に解説していきます。
1.悪天候が続く時は肥料を控える
トマトの異常茎は、使いきれない窒素が溜まってしまうことで発生するので、光合成があまりできない悪天候時は、与える肥料(窒素)の量を減らしましょう。
天気が悪くても、少量の窒素であれば異常茎は発生しにくいですが、一度に多くの肥料を与えるのはNGです。
2.梅雨時期は硝酸態窒素を含む肥料を使う
肥料に含まれる窒素には2種類あり、硝酸態窒素とアンモニア態窒素に分かれます。
硝酸態窒素のほうがトマトの中に残りにくく、悪天候が続く梅雨時期にはぴったりです。
梅雨時期は年によっては悪天候が長く続き、どうしても天気の悪い日に窒素を与えなければならないこともあるでしょう。
天気が悪いときに窒素を与えるのであれば、できるだけ硝酸態窒素を含む肥料を使うようにしましょう。
3.ホウ素を含む肥料の葉面散布を行う
ホウ素不足によっても異常茎は発生するので、ホウ素を葉から吸わせるのも対策になります。
樹勢が強く、異常茎が発生しそうな株の状態であれば、早めにホウ素の葉面散布を行ってください。
トマトの異常茎(めがね)が発生してしまったら
ここまでは、異常茎を発生させないための予防方法を紹介してきましたが、発生してしまった場合の対策は異なります。
異常茎が発生してしまったときの対策は、下記の通りです。
- 脇芽を伸ばす
- 葉かきをして樹勢を落ち着かせる
- 窒素の入っていない肥料を使って生育を促進させる
1.脇芽を伸ばす
異常茎が発生すると、芯止まりになって、茎が伸びなくなってしまう可能性があるので、脇芽をわざと取らずに残しておきましょう。
異常茎の影響が出ていない、花の下の勢いがある脇芽を残しておけば、もし芯が止まっても脇芽を新たな主枝にすることができます。
芯が止まらず伸びていたら、伸ばした脇芽取るか、脇芽の芯を止めれば問題ありません。
2.葉かきをして樹勢を落ち着かせる
異常茎が発生しやすいのは樹勢が強いときです。
さらに、異常茎が発生した段の花は果実が付きにくく、実らずに落ちてしまえば、さらに樹勢を強くさせる要因となります。
葉かきをすると、トマトの樹勢が落ち着くので、適度に葉を減らしてみてください。
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3.窒素の入っていない肥料を使って生育を促進させる
悪天候が続き、使用できない窒素が溜まることで異常茎は発生するので、光合成を促進させる液肥を葉面散布すると改善されていきます。
あくまで、光合成を促進させるのが目的であり、株を強くする窒素が入った肥料は使ってはいけません。
カルシウムやホウ素など、微量要素と呼ばれるものが入った資材を使ってみてください。
トマトの異常茎(めがね)が発生しやすい時期に注意
ここまで、異常茎にならないための対策と、なってしまったときの対処方法について解説してきました。
上記に加え、異常茎が発生しやすい時期を前もって知っておくと、予防対策がしやすくなります。
結果からいえば、異常茎が発生しやすいのは、梅雨時期です。
梅雨時期は、春に植えたトマトが3~4段くらいまで育ち、一番樹勢が強くなっている時期でもあります。
さらに、梅雨時期なので天候が悪い日が続き、強樹勢と悪天候という2つの要因が重なってしまうのです。
異常茎の予防対策は、梅雨時期に徹底して行うようにしましょう。
まとめ【異常茎を抑制するには生育を乱さないこと】
異常茎にはいくつかの発生原因がありますが、一番重要なのは、天候をよく見ながら生育状態を乱さないことです。
天気の良い日が続けば、トマトもたくさん栄養を使うので、肥料を多めにあげればよく育ちます。
反対に、悪天候が続いているのに、変わらず多めの肥料を与えていては、すぐに異常茎が発生してしまいます。
トマトを観察しながら、窒素を与えすぎず、樹勢もほどほどに抑えれば、悪天候時だって異常茎は発生しなくなりますよ。
最後に、このブログ「もこっとおにぎり」では、トマト農家の私が、トマト栽培に関する知識や技術が詰まった記事を更新しています。
トマト農家の育て方が学べるので、トマト栽培で困ったことがあれば、またいつでも遊びに来てくださいね。