トマトの栽培中、花の量が急に増え、成長が止まってしまう『芯止まり』が発生することがあります。
トマトの芯止まりは、原因と対策さえ知っていれば、発生しても何ら問題はありません。
しかし、芯止まりの対策を知らずにいると、成長が止まって収穫量が激減してしまう可能性があるのです。
芯止まりにならないように、なっても収量を減らさないために、本記事を読み進めて対策を実施してみてください。
- トマトの芯止まりの症状
- 芯止まりになる原因
- 芯止まりの予防対策
- 芯止まりになったときの対策
- トマト農家の私自身、芯止まりが多発した経験あり
- 芯止まりになってしまった年も、本記事の対策を実施し、収穫量の減少を阻止
トマトに起きる芯止まりの症状
トマトの一番先の生長点という部分をよく見ると、小さな葉っぱが出ていて、そこから新しい葉や花が出てくることが分かります。
芯止まりが起きると、生長点がなくなり、新しい葉や花が出てくるこなくなるのです。つまり、成長が止まるということになります。
また、花房の上にすぐ花房が出てくる「連続花房」が、芯止まりの前触れとして見られることが多いです。
花房が連続して出てきた後に葉っぱが伸びてこず、生長点が見られなければ、芯止まりの症状が発生していると判断します。
トマトの芯止まりが起きる原因
トマトの芯止まりが起きる原因はいくつかあり、当てはまっている数が多いほど発生しやすくなります。
芯止まりが起きる具体的な原因は、下記の通りです。
- 生育のバランスが乱れた(樹勢が強いまたは弱い)
- 肥料過多による異常茎の発生
- 低温にあたった
それぞれの原因について、順に解説していきます。
1.生育のバランスが乱れた
トマトの芯止まりが発生する原因は、生育が乱れたとき、人間で言う「体調が悪い時」に発生しやすくなります。
樹勢が強すぎたり弱すぎたりすると、連続で花房が発生しやすく、芯止まりに繋がることが多いです。
芯止まりを発生させないためには、一定の樹勢でバランスを取ることが重要になります。
樹勢のバランスを取るには、次の記事を参考にしてみてください。
【トマト】栄養成長と生殖成長のバランスの取り方
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2.肥料過多による異常茎の発生
前述した、生育が乱れたときと似ていますが、肥料のあげすぎで樹勢が強くなったときにも芯止まりに注意が必要です。
樹勢が強い時は、茎が縦に裂けて壊死したような状態になる「異常茎」が発生することがあります。
茎が裂けて穴があり、8の字のように見える様子から、「めがね」と呼ばれることもありますね。
異常茎になると、生長点付近も壊死したようになり、芯止まりに繋がります。
異常茎の詳しい症状、原因や対策については、次の記事を参照してください。
【トマトの茎が裂ける】異常茎(めがね)の症状・原因・対策を解説!
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3.低温にあたった
トマトが14度以下の低温にあたり続けることでも芯止まりの症状が出ます。
特に、樹勢が強い時に低温に当たると、花を作る働きが活発になり、連続花房になる可能性が高くなるのです。
低温にあたってもすぐに症状が出るわけではなく、低温にあたってから2~3段分の花が出た頃に症状が出始めます。
樹勢が強くてなりやすい時期は、3~4段目が開花する頃で、この時期に低温にあたると連続花房の症状が出やすいです。
ですが、3~4段目で低温にあたっても、実際に連続花房が出るのは2~3段後の、5~6段目あたりということになります。
トマトの芯止まりの予防対策
先述してきたように、トマトの芯止まりには、具体的な原因があります。
芯止まりの原因がはっきりしているということは、発生する前に予防することも可能ということです。
芯止まりの具体的な予防対策は下記の通りです。
- 生育初期に肥料と水を与えすぎない
- 異常茎の原因となる窒素過多を避ける
- 生育が旺盛な時期に低温が続く場合は保温する
上記の予防対策について、順に解説していきます。
1.生育初期に肥料と水を与えすぎない
苗を植えたすぐは、肥料と水に反応しやすく、多めに与えるとすぐに樹勢が強くなってしまいます。
樹勢が強いときは、生育が乱れている状態でもあるので、芯止まりの発生原因となってしまうのです。
3段目あたりまでは追肥を行わず、水の量で生育状態を調節しましょう。
2.異常茎の原因となる窒素過多を避ける
1つ目の対策と似ていますが、芯止まりを予防するには、まず異常茎の予防が大切になります。
【トマトの茎が裂ける】異常茎(めがね)の症状・原因・対策を解説!
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異常茎は生育段階にかかわらず、窒素量が多すぎると発生しやすくなるので、トマト栽培の全期間を通して、窒素過多に注意が必要です。
茎が太く、葉っぱが茂りすぎているのなら、窒素が入った肥料は控え、樹勢を落ち着かせるように心がけましょう。
樹勢のバランスを取る方法については、次の記事を参考にしてみてください。
【トマト】栄養成長と生殖成長のバランスの取り方
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3.生育が旺盛な時期に低温が続く場合は保温する
トマトの樹の生育が旺盛な、3~4段開花頃に14度以下の低温が続くようなら、ビニールなどで被覆して保温しましょう。
ただ、保温による芯止まりの予防は、できる場合とできない場合があると思います。
簡易的なハウスでもあればビニールで被覆することはできますが、露地栽培だと保温は難しいでしょう。
どうしても低温時の保温ができない場合には、先述した2つの予防を徹底して芯止まりを防ぎましょう。
トマトの芯止まりが発生したときの対策
上記の予防対策をしたのに連続花房や芯止まりが発生してしまったとしても、まだ諦めないでください。
しっかりと対処できれば、成長を止めることなく伸ばし続けることができます。
芯止まりが発生しても成長を止めない具体的な対策は下記の通りです。
- 連続花房が見られたら脇芽を残しておく
- 窒素を含む肥料を与えて樹勢を回復させる
1.連続花房が見られたら脇芽を残しておく
芯止まりの前には、先述した連続花房が出ることが多いです。
連続花房は芯止まりで成長が止まる合図でもあるので、連続花房が見られたら、芯が止まっても別に伸びる脇芽を残しておく必要があります。
脇芽を残しておけば、新たな主枝となって、芯止まり後も花や葉をつけて伸びていきます。
脇芽を残す際は、花房のすぐ下から出ている勢いの強い脇芽を伸ばしましょう。
2.窒素を含む肥料を与えて樹勢を回復させる
連続花房によって芯が止まってしまった場合、大量に花を咲かせるためにトマトが体力を消耗し、樹勢が弱ってくる可能性があります。
また、新しい脇芽も伸ばすので、ある程度の栄養が必要です。
樹の様子を見て、強かった樹勢が弱まりつつあったら、窒素を含む肥料を与えて樹勢の回復に努めましょう。
必ず芯止まりになる品種もある
ここまで、芯止まりが発生する原因と対策について解説してきましたが、芯止まりになる性質を持つ品種も存在するのです。
芯止まりの性質を持つ品種は、2段目の花房が出たところで芯が止まり、主枝の成長が止まります。
ただ、芯止まり性の品種は、必ず芯止まりになることが分かっているので、あらかじめ脇芽を取らずに残しておくことで新しい花を咲かせていくのです。
そして脇芽も2段目の花房が出たところで芯止まりになり、また脇芽を伸ばす、という繰り返しになっていきます。
芯止まりの性質の有無によって育て方が変わってくるので、自分が育てる品種は芯どまりの性質を持っているのか、育てる前に確認しておくようにしましょう。
まとめ【芯止まりになっても脇芽を伸ばせば大丈夫!】
トマトの樹が芯止まりになると、成長が止まって伸びなくなってしまいますが、心配するほどのことではありません。
対策として紹介したように、脇芽を新たな主枝として伸ばせば、問題なく成長を続けていきます。
ただ、脇芽を全て取ってしまう前に、連続花房の発生に気付かなくてはなりません。
日頃からトマトをよく観察し、芯止まりの兆候を見逃さないようにしましょう。
最後に、このブログ「もこっとおにぎり」では、トマト農家の私が、トマトの知識を詰め込んだ記事を更新しています。
トマトの育て方や品種、病害虫や障害など、トマトに関する様々な記事が揃っているので、トマトのことで知りたいことがあったらいつでも遊びに来てくださいね。