「トマトの葉先が枯れてきたけど病気だろうか」
「何が原因で枯れているのか」
「予防と対策は何をしたらいいの?」
本記事は、上記のような悩みを解決できる内容になっています。
トマトの葉先が枯れる症状が出て不安を抱えている方は、ぜひ読み進めて原因と対策方法を確認してみください。
私自身、トマトを育てる農家であり、日ごろからトマトの葉先が枯れる症状と戦っているので、信頼性は高い内容となっています。
- トマトの葉先が枯れる「葉先枯れ」の原因
- 葉先枯れの予防方法
- 葉先枯れ発生後の対策
トマトの葉先が枯れるのは病気ではなく生理障害
トマトの葉が枯れる病気はいくつかありますが、葉の先だけがかれるのであれば、病気ではなく「葉先枯れ」という生理障害です。
葉が枯れる病気の場合は、枯れる部分が広がっていったり、葉先だけでなく葉全体が枯れ落ちたりします。
葉先枯れは病気ではないので、トマトが枯れてしまうことはありませんが、多発すると生育が悪くなったり、病気を誘発したりする可能性も。
病気ではないからと油断せず、トマトの生育が悪くなる前に、次から解説する、葉先枯れが発生する原因や対策方法についての知識を身に着けておきましょう。
トマトの葉先が枯れる原因
トマトの葉先枯れが発生する原因は下記の通りです。
それぞれの発生原因についても順に解説していきます。
- カリウム不足
- カルシウム過剰
- 根の張りが悪い
- 徒長している
- 果実の着果による負荷
- 急な天候の変化
カリウム不足
トマトに発生する葉先枯れの主な原因は、トマトには多く必要となるカリウム不足していることにあります。
土壌中のカリウムがそもそも少なかったり、土壌には足りているけど根からカリウムを吸い上げられていなかったり、不足する原因は様々です。
カリウムが根から吸えなくなる原因に、次に解説するカルシウム過剰が挙げられます。
カルシウム過剰
トマトに限らず、作物が必要とする養分には、お互いに効果を打ち消しあう「拮抗作用」が働きます。
不足すると葉先枯れの原因となるカリウムにも拮抗作用の影響はあり、カルシウムが多いとトマトがカリウムを吸収しにくくなるのです。
葉先枯れが発生するときは、カリウムは十分に畑に入っているのに、カルシウムが多すぎて効果を発揮していないということもあるかもしれません。
根の張りが悪い
前述したカルシウム過剰だけでなく、根張りの悪さもカリウムの吸収が悪くなる原因となります。
せっかくカリウムが土の中にたくさんあっても、根の張りが悪く、浅いところにした根がなければ、深いところにあるカリウムは吸収することができません。
徒長している
徒長とは、茎や葉が無駄に育ちすぎている状態のことで、徒長していると葉の中のカリウムが不足しやすくなります。
前述した、根の張りが悪い状態だと、徒長しやすくなることも。
徒長すると無駄な葉が増えるので、カリウムが行き渡らない部分が出てきて、カリウムが不足した葉の先が枯れていくのです。
葉の色が悪く、ヒョロヒョロと長く育っているようであれば、徒長が葉先枯れの原因となっている可能性があります。
果実の着果による負荷
最もトマトの葉先枯れが発生しやすいのは、5段目の花が開花した頃で、夏のトマトなら7月頃になります。
この時期は、収穫を迎える直前になり、大きくなった実がたくさんついているはずです。
果実の着果数が多ければ多いほど果実にカリウムが取られ、葉のカリウムが不足して葉先枯れを引き起こします。
急な天候の変化
ここまで解説してきた葉先枯れの発生原因に加え、急な天候の変化が繰り返されるときはさらに葉先枯れが発生しやすくなります。
天候が変化しやすいと、トマトの葉や根の働きが鈍くなり、水やカリウムなどの養分を吸い上げる力が弱くなってしまうのです。
天気が悪くなると徒長もしやすく、天候の変化が葉先枯れの発生に繋がっているのは確かでしょう。
トマトの葉先枯れの予防
前の章で解説してきた、トマトの葉先枯れの発生原因を元に、具体的な葉先枯れの予防方法を紹介していきます。
トマトの葉先枯れの予防方法は下記の通りです。
- 徒長させない
- 根が張りやすい環境を整える
- 摘果をして着果負担を減らす
- カリウムが含まれる肥料の追肥や葉面散布を行う
徒長させない
トマトの葉先枯れを予防するには、葉先枯れが発生しにくい強い樹にする必要があります。
そのためには、徒長させないことが前提になってくるでしょう。
日当たりの良いところで育て、適度な水と肥料を与え、できるだけ無駄な生育をさせないように心がけましょう。
根が張りやすい環境を整える
徒長させなかったり、カリウムの吸収量を増やしたりして葉先枯れは予防できますが、そのためには根の働きが重要になります。
根を深く広く張るためには、マルチをして地温の確保をしたり、土の中の水分量を適度に保ったりしましょう。
根が深く張ることで、土の中のカリウムを上手く吸い上げることができ、自然と葉先枯れの発生が抑制されていきます。
摘果をして着果負担を減らす
摘果は、特に大玉トマトで高い効果が得られる葉先枯れの予防策です。
付きすぎた果実を取ることで、トマトの樹にかかる負担が減って葉先枯れが減り、樹勢の維持にも繋がります。
大玉トマトには必須の作業なので、下記の記事を参考に摘果をしてみてください。
トマトの摘果方法!実を減らした方がたくさん収穫できる!?
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カリウムが含まれる肥料の追肥や葉面散布を行う
トマトの葉先枯れは、カリウムが不足することによって発生するので、不足しないようにカリウムを追加してあげると葉先枯れが発生しにくくなります。
カリウムが入った肥料を、追肥したり葉面散布したりすることで、不足した分を補うことが可能です。
葉先枯れの予防に高い効果がある肥料については、次の章で解説しているので、読み進めて参考にしてみてください。
葉先枯れの抑制に効果があるおすすめ資材『カリグリーン』
トマトの葉先枯れは、カリウムを追肥や葉面散布で追加してあげることで発生しにくくなります。
カリウムを追肥や葉面散布で追加するといっても、どんな肥料を使えばいいかわからないと思いますが、「カリグリーン」を使っておけばまず間違いありません。
カリグリーンは、カリウムが含まれている肥料でありながら、病気の予防にも効果がある農薬でもあります。
農薬といっても毒性のない農薬なので、使用回数に制限はなく、何度でも使用できてもちろん体にも無害です。
トマトの厄介な病気である、灰色かび病・葉かび病・うどんこ病などに効果があり、葉先枯れだけでなく病気の予防までできてしまう万能な資材ですよ。
トマトの葉先枯れが発生したときの対策
少し話がそれましたが、前章ではトマトの葉先枯れを予防する方法について解説してきました。
ですが、紹介した方法で葉先枯れを予防していても、どうしても発生してしまうことがあります。
葉先枯れが発生してしまったときは、以下の方法で発生後の対策をしましょう。
- カリウムが含まれた肥料を使う
- 徒長している時はカリウムだけでなく窒素も追肥する
- 症状が出た葉を取る
カリウムが含まれた肥料を使う
葉先枯れが発生したら、先程紹介した予防方法と同様に、カリウムが含まれた肥料を追肥したり葉面散布したりして、不足したカリウムを追加してあげましょう。
カリウムが含まれた肥料についても、先程紹介した「カリグリーン」が間違いありません。
徒長している時はカリウムだけでなく窒素も追肥する
徒長していて葉先枯れが発生したのであれば、カリウムと同時に窒素も追肥や葉面散布で与えてあげましょう。
窒素を与えることで、徒長してひょろひょろと伸びた茎が、太くどっしりとした茎になります。
樹に元気が戻れば、自然と葉先枯れも治まっていくことでしょう。
症状が出た葉を取る
一通り葉先枯れの対策ができたら、最後に症状が出て枯れた葉を取り除きましょう。
枯れた部分を取ればいいので、葉先だけを切り落としても問題ありません。
枯れた葉をそのままにしておくと、次の章で解説するように、病気を誘発してしまうことがあります。
葉先枯れを放置すると病気を誘発することも
トマトの葉先枯れは生理障害なので、病気のように枯れた部分が広がったり、他の株に移ったりすることはありません。
しかし、枯れてしまった部分をそのままにしておくと、枯れた部分から「灰色かび病」を発病してしまう可能性があります。
灰色かび病は枯れた部分にしか発病しないので、葉先枯れによって枯れた部分を取ってしまえば発病することはありません。
葉先枯れが発生したら、灰色かび病を誘発しないように、枯れた部分を取り除くか、農薬によって消毒しておくことを徹底しましょう。
農薬で消毒する際も、先程紹介した「カリグリーン」を使えば、葉先枯れの抑制と灰色かび病の予防の両方に効果があるので非常におすすめです。
まとめ【トマトの葉先枯れは秋までに対策しよう】
本記事の後半でも述べたように、トマトの葉先枯れは放置すると病気を誘発する可能性があるので、必ず対策する必要があります。
特に、秋は葉先枯れによって枯れた部分から、灰色かび病が発生しやすいので、夏のうちから予防や対策をしておく必要があるのです。
「葉先が少し枯れているだけだし大丈夫だろう」と思って何もしないでいると、秋に痛い目に遭うこととなるでしょう。
トマトの葉先が枯れてきたら、本記事で紹介した葉先枯れの対策を実施して、秋の病気からトマトを守ってあげてくださいね。