家庭菜園でトマトを育ててみたものの、「実がならない」という経験をして落ち込んだことはありませんか?
トマト農家の私でも、失敗して実の付きが悪いこともありました。
そんな時には必ず原因があります。
この記事では、トマトの実がならない時の原因と、トマト農家の私も実践している対策方法をご紹介します。
今では11段以上実をつけ続けられています。そのコツも書かれているので、たくさんトマトを収穫したい方は必見です!
実がならない原因とその対策
トマトが実がならない場合、必ず原因があります。
7つの原因と対策について見ていきましょう。
過繁茂(樹が強すぎる)
葉っぱが大きく、茎が太い、このような樹が強すぎる状態です。
必要以上に樹が育っているので、果実に行くはずだった栄養が他の部位に取られ、上手く果実に行き届いていないのです。
対策
- 葉っぱの枚数を減らす
- 肥料の量を減らす
少しでも樹の生育を抑えるため、不要な葉を取ったり、肥料を減らしたりして、樹の観察を続けます。
肥料不足(樹が弱すぎる)
葉が小さく、茎も細い、先程とは反対に樹が弱すぎる状態です。
果実だけではなく、樹にも栄養が行き渡っていないので、全体的に弱々しい姿になります。
対策
- 肥料の量を増やす
- 付いている果実を減らす
栄養が足りていない状態なので、肥料を与えたり、下の段に付いている果実を取って減らしたりすることで、樹への負担が軽くなり元気が出てきます。
1段目が着果しなかった
トマトは1段目の最初の花に実がならないと、その後も実がなりにくくなる性質があります。
また1段目が着果しないことで、樹に負荷が無い状態になり、過繁茂状態になってしまいます。
ポイント
- 1段目はホルモン剤(トマトトーン)などを使って確実に着果させる
- 小さい苗の状態から生育を乱さない
1段目は確実に実を付ける必要があるので、トマトトーンというホルモン剤を使うことをおすすめします。着果率が高くなります。
トマトトーンの使い方はこちらの記事から ➡ トマトトーンの効果と正しい使い方
トマトトーンを使ったとしても、苗の生育状態が悪いと着果しないこともあるので、苗の時から管理に手をかけましょう。
高温にあたった
トマトは35度以上になると花粉が出なくなり、実がなりにくくなります。
真夏に実がならない場合は、高温が原因の可能性が高いです。
対策
- 遮光をして直射日光を遮る
- 暑すぎる時期は諦める
高温対策はとても難しいです。
家庭菜園の場合、雨よけをしているのならその上に遮光シートなどをかけることで多少の温度上昇は防ぐことができます。
それでも実の付きが悪いのであれば、真夏の1~2段分は付かないものと思って諦めるのも手です。
そこで実が付かなければ、上の段で多く実が付くようになるので後半に期待ですね。
低温にあたった
苗の時に低温にあてるのも実がならない原因になります。
苗の時はまだトマトの体が弱く、5度を下回るような低温には耐えることができません。
対策
- 寒い時期の定植を避ける
- 園芸用ホットキャップで保温する
夏のトマトは5月から6月にかけて植えることが多いです。5月の上旬だとまだ気温が落ち込む日もあります。
なるべく植えてすぐ低温にあたることがないよう、6月に入ってから植えるようにすると低温に遭うことも少なくなるでしょう。
また、苗に被せる保温キャップがあるので、大きく育つまでは使ってみるのも低温対策になります。
日照不足
トマトは光を好みます。日照不足では光合成が十分にできず、栄養不足で実がつかなくなります。
家庭菜園を始める時に、日当たりの良さはとても重要になります。
また、天候による日照不足もあるので、雨が続く時期には対策が難しいです。
対策
- プランター栽培の場合は、日当たりの良い場所に移動させる
- 畑の場合は、次作以降できるだけ日の当たる場所に植える
移動させることができるプランターなら、すぐに日当たりの良い場所に移動させたり、時間帯によって置く場所を日が当たる所に変えることも効果があります。
畑があまり日の当たらない所にある場合はトマトに不向きの土地なのでトマトを育てること自体が難しくなります。
次作では、少しでも日の当たる時間が多い場所に植えるように検討してみてください。
病気にかかった
トマトには人間と同じように、様々な病気を発病する可能性があります。
病気にかかった株は見た目が他の株と明らかに違い、ほとんど実がついていない状態です。
農薬を使って予防することはできますが、家庭菜園ではなかなかできないかと思います。
病気になってしまった株は治すことができないので、他の株に移さないように早めに抜いて処分しましょう。
実をならせる方法
実がならない原因を突き止め、対策をしたとしても上手く実がならないこともよくあります。
そんな時は人間が実をならせるために手をかけてあげましょう。
不要な脇芽を取る
脇芽が伸びすぎているのであれば、光合成で作られた栄養をそちらに取られている可能性があります。
脇芽は基本的に大玉トマトであれば全て取った方が良いです。ミニトマトは脇芽を数本残して枝を増やす方法もよく使われます。
脇芽が何かわからない、どこから生えているのかわからない、取り方がわからない、といった方は初心者でも分かりやすくまとめた「脇芽の取り方」の記事を読んでみてください。
https://young-tomato-farmer.com/entry/wakime-torikata
花を指で弾いて花粉を飛ばす
トマトは1つの花の中におしべとめしべがあるので、少し指で弾いて揺らすだけで受粉させることができます。
外で栽培すると虫が花粉を集めにきたり、風で花粉が飛んだりすることで、勝手に受粉して実がなることが多いです。
しかし、室内の場合は花粉を運んでくれる虫がいなければ、花粉を飛ばしてくれる風もありません。
特に大玉トマトは放置していると実がならないことが多いので、花が落ちない程度に軽く触れて人工受粉をすると良いでしょう。
ホルモン剤(トマトトーン)を使う
1段目の花や確実に実をつけたい場合には、トマトトーンというホルモン剤を使うとほぼ確実に実をつけることができます。
このホルモン剤は一応「農薬」というカテゴリになっていますが、トマトにも人間にも正しく使えば害はありません。
トマトトーンの効果と正しい使い方は、次の記事を参考にしてみてください。
https://young-tomato-farmer.com/entry/tomatotoon-tukaikata
実がなりやすい樹を育てるコツ
実がならなくなる原因は理解していただけたでしょうか?
原因を突き止めて対策するのも大切ですが、できればそうなる前に実がたくさんなる樹に育てたいですよね。
トマト農家の私も実践しているコツをご紹介します。
1段目を確実に着果させる
トマトはやはり1段目の実を確実に付けるのが重要です。
1段目だけでもトマトトーンを使ったり、指で触れて人工授粉をしたりして絶対に実をつけてください!
それだけで2段目以降の実の付きやすさが変わってきます。
実を付けすぎない
しっかりと実をつけることができたら今度は、栽培後半まで実をつけ続けられるように「摘果」という実の数を減らす管理をします。
たくさんの実をつけたままにしておくとトマトの樹には負担が大きく、途中で疲れてしまいます。
ミニトマトの場合はあまり数を減らさなくても良いですが、小さい実を2~3個取ってみるだけでも効果があるので、長く収穫したい方は取ってみるのも良いでしょう。
大玉トマトは必ず実の数を減らした方が良いです。1~3段目は3果程にするのが理想です。
その後は樹の様子を見ながら、元気があるようだったら4~5果と増やし、弱々しくなってきたら思い切って1~2果にするのもトマトのためになります。
この摘果の作業をどのようにしたかで、最後まで実をつけ続けることができるかが決まります。
肥料の与えすぎと不足に注意する
プランターで購入した土を使用して栽培する場合はあまり気にしなくて良い事ですが、畑で育てる場合は肥料の量に気を付けましょう。
初めはわからないのが当たり前なので、調べたり聞いたとおりに肥料を入れて作ってみてください。
1回作ってみると、肥料が多くて樹が強くなったのか、少なくて途中で肥料を足す必要があったのか、なんとなく分かるようになってきます。
こればかりは経験が物を言うと思っているので、トマトの観察を続けて知識を付けていきましょう。
最後に
このようにトマトの実が付かない原因は様々で、なかなか状況に合った対策をできないこともあります。
1作目で上手く実をつけられないのは当たり前です。2作目も失敗したとしてもセンスがないと諦めるのは早いです。
トマトの観察を怠らず、何度も育ててみることで何が原因で実が付かないのか分かるようになってきます。
私はトマト農家ですが、特に1段目を付けることと、摘果を必ずすることを意識して、11段以上全ての段で実をならせ続けています。
家庭菜園でもできることなので、この記事を参考にたくさんのトマトを実らせてみてください。