様々な料理に食材として使われ、甘みと酸味が味に深みを出す野菜「トマト」。
トマトが多くの料理に引っ張りだこな理由を知っていますか?
しっかりとした理由がありますが、簡単に言うと「うま味成分」が多く含まれているからです。
- うま味成分とは何か
- なぜトマトがここまで料理に使われているのか
- トマトのうま味成分を引き出せる食べ頃はいつか
この記事は、これら3点について理解できるような構成になっています。
何気なく料理に使っているかもしれませんが、実はトマトには料理の味を深める力があったのです。
トマトに含まれるうま味成分【グルタミン酸】
トマトにはうまみ成分であるグルタミン酸が多く含まれています。
代表的なうまみ成分としてグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸が挙げられますが、トマトはグルタミン酸の宝庫です。
グルタミン酸は、主に野菜類や昆布、チーズなどに含まれています。
野菜類に注目し、トマトとグルタミン酸が多く含まれる他の野菜を比べてみましょう。
グルタミン酸を多く含む野菜(100g当たり)
- トマト 150~250mg
- じゃがいも 30~100mg
- とうもろこし 70~110mg
- れんこん 100mg
- グリーンピース 110mg
(うま味インフォメーションセンターHPより引用)
これを見れば分かる通り、トマトは野菜の中でグルタミン酸の量はトップクラスです。
ちなみに、昆布にはトマトの約10倍のグルタミン酸が含まれています。
うま味成分(グルタミン酸)とは
簡単に言えば主に野菜に含まれている、人間が美味しいと感じる物質であり、調味料にも使われています。
トマトは赤くなるにつれてグルタミン酸が増えるため、緑のトマトより赤いトマトの方が美味しく感じるのです。
グルタミン酸はトマトに多く含まれますが、昆布にはそれ以上に大量に含まれています。
出汁を取る時に昆布が使われるのは、うま味成分であるグルタミン酸が様々な食品の中でもずば抜けて多く含まれているからなのです。
トマトが様々な料理に使われる理由
トマトはパスタ、ラーメン、肉料理、お菓子など、様々な料理に使われますよね。
これだけ多くの料理に使われるのにはしっかりとした理由があります。
うま味の相乗効果
グルタミン酸は、うま味成分であるイノシン酸やグアニル酸と組み合わせることで、うま味が飛躍的に強くなることが知られています。
これを『うま味の相乗効果』と言い、この効果で料理の味が決まってくるのです。
それぞれを簡単に説明すると、イノシン酸は肉や魚、グアニル酸はしいたけなどのキノコ類に多く含まれるうま味成分となります。
そしてグルタミン酸は、トマトなどの野菜類ですね。
例えば日本料理では昆布(グルタミン酸)と、かつお節(イノシン酸)、西洋料理や中国料理では野菜類(グルタミン酸)と肉類(イノシン酸)を組合せてだしをとり、古くから料理に利用してきました。「うま味の相乗効果」が発見されたのは1960年のことですが、それよりもずっと前から世界各地で経験的に料理に活かされてきたのです。
(出典:https://www.umamikyo.gr.jp/knowledge/ingredient.html)
このように、うま味の組み合わせによる相乗効果は昔から利用され続け、美味しい料理にはかかせない存在となっています。
つまり、うま味の多いトマトは多くの料理に利用することができ、うま味の相乗効果により美味しくなることから、様々な料理に使われているのです。
トマトのうま味を感じられる食べ頃はいつ?
トマトは赤くなればなるほどうま味(グルタミン酸)が増えると説明しました。
これだけを聞くと、真っ赤に熟した時が一番美味しく食べられる食べ頃だと思うかもしれませんが、実は違います。
次の画像をご覧ください。
「グルタミン酸」と「糖」は、トマトが赤くなるほどグラフの値が増加しているのが分かると思います。
ですが、「酸」に関しては、完熟が近づくと急激に減少しているのです。
トマトはうま味(グルタミン酸)と糖と酸のバランスが重要
トマトは酸度が低いと味が薄く、物足りなさを感じるようになるため、ある程度は必要です。
トマトの美味しさは糖と酸の比率である、糖酸比によって決まります。
糖度は先ほどのグラフを見れば分かるように、薄く色が付き始めてから完熟までの間でそこまで変化がありません。
赤くなりすぎると急激に酸度が低下するため、真っ赤な完熟トマトの一歩手前のピンクがかった色のトマトが一番味が濃くなります。
その他に、美味しいトマトを見分ける方法についてはこちらの記事のご覧ください。
https://young-tomato-farmer.com/entry/umaitomato
【まとめ】トマトにはうま味成分(グルタミン酸)が豊富
トマトにはうま味成分であるグルタミン酸が多く含まれており、それが様々な料理に使われる理由と説明しました。
トマトのうま味を最大限発揮して美味しく食べるためには、グルタミン酸と糖、そして酸の量が多い時を狙いましょう。
トマトの酸っぱさが苦手で酸度は必要ないというあなたは、酸が少なくなってくる完熟トマトがおすすめです。
糖と酸はさて置き、これだけのうま味成分が含まれているのであれば、様々な料理に使われ続けるのも当たり前ですよね。
これからもトマトは、料理の味を深める食材として人気が続きそうです。