トマトの管理作業に使うハサミは、使用後にしっかりと消毒していますか?
ハサミを消毒なんて大袈裟だと思うかもしれませんが、脇芽かきや収穫など、トマトに触れたものの消毒は非常に大切なのです。
ハサミを消毒していないと、トマトの株から株へと病気が広がり、手が付けられなくなる可能性も。
本記事では、ハサミの消毒におすすめする消毒薬の紹介と、消毒方法の解説をしているので、病気を広げないためにも読み進めてみてください。
トマトに使うハサミは必ず消毒しよう
トマトを栽培していると、脇芽や葉っぱを切ったり収穫したりする際に、ハサミを使うことが多々あるはずです。
ハサミを使うことで効率よく作業できるようになりますが、病気を広げてしまうというデメリットもあります。
病気にかかっている株にハサミを使うことで刃に病原菌が付着し、健康な株を切ったときに刃に付いている病原菌が侵入するのです。
トマトの管理作業にはハサミが便利ですが、健康な株にも病気を広げてしまわないために、ハサミの使用後は必ず消毒をするようにしましょう。
消毒に使う殺菌剤の紹介や、消毒方法については、次の章から解説してきます。
トマトに使うハサミの消毒ができるおすすめの消毒薬
トマトの管理作業に使うハサミは、トマトの病原菌に効果がある消毒薬を使って消毒します。
消毒に使う消毒薬はいくつも種類がありますが、次に紹介する「70%エタノール」と「ケミクロンG」の2つの消毒薬が、農家でもよく使われているものなので間違いありません。
2つの消毒薬の特徴を解説するので、どちらを使うか見比べて選んでみてください。
ハサミの消毒薬①消毒薬の定番「エタノール」
消毒薬の定番、アルコールの一種である「エタノール」はトマトのハサミも消毒することができます。
エタノールは70%前後の濃度で消毒効果が十分に発揮されるので、エタノールを消毒に使う際は70%程度のものを選びましょう。
濃度が70%前後のエタノールは、トマトのハサミだけでなく手指の消毒にも使用できるので、余っても使い道があるのがいいですね。
ただし、エタノールではトマトの病原菌を完全に消毒することは難しく、次に紹介するケミクロンGよりは消毒効果が劣ります。
ハサミの消毒薬②効き目抜群の「ケミクロンG」
エタノールよりもトマトがかかる病気の菌に効果があるのが、「ケミクロンG」という殺菌剤です。
ケミクロンGはあらゆる病原菌に殺菌効果があり、トマトの病原菌も完全に殺菌するため、できればエタノールよりもこちらを使って欲しいです。
しかし、水に溶かして使う本薬は、水に溶けにくく少し使いにくいといったデメリットがあります。
水に溶かす手間を気にしない方は、効果抜群のケミクロンGが非常におすすめです。
トマトの管理作業で使ったハサミの消毒方法
トマトの管理作業でハサミを使った後は、前章で紹介した「エタノール」か「ケミクロンG」を使って消毒をしましょう。
消毒の方法は非常に簡単で、エタノールやケミクロンGを溶かした水を霧吹きに入れて刃に吹きかけるだけです。
吹きかけた後も洗い流す必要はなく、トマトに触れた部分全体に吹きかけるだけでしっかりと消毒することができます。
ハサミの消毒自体は簡単にできるのですが、ケミクロンGを使う際には注意する点があるので、次の章で解説していきますね。
ハサミの消毒にケミクロンGを使う際の注意点
ハサミの消毒にケミクロンGを使う場合、注意しなければならない点が3つあります。
- 希釈倍率を守る
- 素手で長時間触れない
- トマトの茎や葉に直接かけない
- 消毒液の作り置きをしない
希釈倍率を守る
水に溶かして使うケミクロンGには、何倍に溶かして使うのかしっかりと記載されています。
使用用途によって希釈倍率は変わりますが、ハサミの消毒に使う場合は500倍の水で溶かして使いましょう。
希釈倍率を間違えると、消毒効果が薄れてしまう可能性があります。
素手で長時間触れない
ケミクロンGは消毒用に使用できる塩素なので、肌に長時間付着していると荒れてしまうことがあります。
少し手に触れるだけなら問題はありませんが、念のためすぐに洗い流すようにしましょう。
また、ケミクロンGを水に溶かすときは、ゴム手袋などをして素手で触れないようにするとより安全です。
トマトの茎や葉に直接かけない
ケミクロンGは、あくまでトマトに使用するハサミを消毒するためのものです。
トマトに直接かけて消毒効果があるわけではありません。
消毒効果があったとしても薬害が出て、かけた部分が黄色く変色してしまうでしょう。
ケミクロンGでの消毒は、必ずハサミだけにしておきましょう。
消毒液の作り置きはしない
ケミクロンGは小さな白い粒を水に溶かして使うのですが、水に溶かした状態では消毒効果が時間と共に薄れていきます。
特に、直射日光が当たると1~2日程度で消毒効果がなくなり、ハサミにかけても意味がなくなってしまうのです。
霧吹きなどにケミクロンGを溶かした消毒液を入れたら、直射日光に当たらない場所で保管するようにしましょう。
それでも消毒効果は長くは持たないので、あまり多く作り置きしておくことはおすすめしません。
ちなみに、臭いを嗅いで塩素の臭いがしなくなったら、消毒効果が薄れているサインです。
使いながら消毒ができる「Vカットハサミ」が超便利
エタノールやケミクロンGを使ってハサミを消毒するには、霧吹きなどに入れて吹きかけて使うと説明しましたが、もっと簡単に消毒する方法があるのです。
「Vカットハサミ」という、消毒液を入れることができるハサミを使えば、ハサミの使用と消毒が同時にできます。
ハサミに付いている小さなタンクに消毒液を入れておけば、握った時に少しずつ消毒液が刃に流れ出します。
枝や葉を切るたびに消毒ができるので、病気の広がりを最小限に抑えることが可能になるのです。
ハサミにしては少し価格が高いように感じるかもしれませんが、トマトを病気から守りたいのであれば、非常に役立つ商品には間違いありません。
Vカットハサミを使わず、低価格のハサミでこまめに消毒をするのであれば、下記の記事で紹介しているハサミがおすすめです。
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まとめ【トマトの病気はハサミを消毒して食い止めよう】
トマトの管理に使うハサミを消毒したところで、すでに病気にかかってしまったトマトの病気を治すことはできません。
ですが、ハサミの消毒をしなければ、病気にかかった株からどんどん発病株を増やしてしまうでしょう。
健康な株に病気を移さないために、トマトの管理をするたびにハサミを消毒することをおすすめします。
毎回消毒するのは手間だと思うかもしれませんが、トマトのためだと思って、毎回の消毒を忘れず行いましょう。