「トマト農家は休みがない」
なんとなくそんなイメージがあるのではないでしょうか?
本当にそのイメージが正しいのか、トマト農家である僕がリアルなトマト農家の休日事情についてまとめていきます。
本記事を読むと、農家は休みがないというイメージが一転するかもしれませんよ。
農家の休みはどうやって決めるのか
トマト農家に限らず農家のほとんどは個人事業主に当たるので、労働基準法が適用されず、労働時間に制限はありません。
なので、休日は決まった曜日に取るのではなく、それぞれの農家が仕事に影響がない休みの取り方をしています。
農家といったら休みがなく、毎日畑に行って農作業をしているイメージがあるかと思いますが、イメージ通りの農家もいることでしょう。
基本的に休みの日が定まっていないのが農家ですが、中でもトマト農家の場合の休み事情はどうなのか次の章からみていきます。
トマト農家に休みの日はあるの?
トマト農家には休みがあるのか?
トマト農家の休日事情について見ていきましょう。
夏は基本無休
トマト農家は休みが無いイメージがあると思いますが、そのイメージ通りにトマトが出荷のピークを迎える夏は休みがありません。
7月頃から収穫が始まり、出荷量が比較的多い10月上旬頃までは基本的に無休の産地が多いです。
トマトといったら夏なので、夏が忙しいのはもちろんのことですが、年中無休という訳ではありません。
冬は超大型連休
夏のピークを終え、出荷量が減少してくる10月あたりからは、出荷や作業に余裕が出てくるので休みが取れるようになってきます。
そして、雪が降る前には全て片付けてしまい、冬の間は農閑期(農作業をしない暇な時期)に入るのです。
農閑期は雪が溶けて農作業ができるようになる春まで続くので、実質3ヶ月程度の超大型連休となります。
冬から春にかけて栽培するトマト農家もいる
前述した内容は、我が家のような夏から秋にかけて出荷する「夏秋トマト」の場合ですが、実は冬から春にかけて出荷する「冬春トマト」の農家もいるんです。
全国のトマト農家の中で約3分の1は冬春トマト農家であり、冬春トマトはおおよそ12月~6月の期間に出荷をし、農閑期も夏秋トマトとは異なります。
本記事は全体の3分の2を占める夏のトマト農家について触れていきますが、冬春トマト農家とは休日の事情が違うことも覚えておいてくださいね。
トマト農家が夏に休みを取れない理由
トマト農家は前述したように、夏は基本的に無休で働かなければならず、なかなか休みを取ることができません。
休みを取れないのは、毎日休まず収穫して出荷しなければならないからです。
知ってる方もいるかもしれませんが、夏のトマトはまだ赤く熟す前の青々とした状態で収穫して出荷されます。
夏はトマトの着色が進むスピードが早く、一日収穫を休むと青めの色で収穫することができなくなってしまうんです。
と思うかもしれませんが、そうもいかないんです。
出荷したトマトはその日に店頭に並ぶのではなく、選別や箱詰め、運送などで数日かけて各店舗に届けられます。
トマトはその間に追熟(収穫後も着色が進むこと)で赤くなり続けるため、熟してから収穫すると店舗に並ぶ頃には食べごろが過ぎてしまうでしょう。
トマト農家は気温が低くなって熟すスピードが落ちてくる10月頃までは、毎日休まずに収穫・出荷をする必要があるのです。
収穫だけでなく、他にもトマトの管理でやることは山のようにあります。
メモ
栽培面積が広い農家ほど一日収穫を休んだときの損が多く、たった一日休むだけで数万円、多い時は数十万円の売り上げをドブに捨てることにも。
トマト農家(我が家)の年間スケジュール
トマト農家は夏の休みが取れず、冬にがっつり休んでいることが分かっていただけたかと思います。
ここからはさらにリアルなトマト農家の休日事情を知ってもらえるように、いちトマト農家である我が家の年間スケジュールを公開します。
月 | 作業内容 | 作業量と休日の有無 |
1月 | 無し | 完全休暇 |
2月 | 無し | 完全休暇 |
3月 | 下旬頃から農作業開始 | 作業が少なく休む余裕あり |
4月 | 苗購入・苗の世話開始 | 毎日苗の管理が必要 そこそこ休める |
5月 | 畑の準備・定植 | 畑の準備が最初の山場 休む余裕が無くなってくる |
6月 | 定植・トマトの世話 | 定植が終わると少し余裕ができる ちょっと休める |
7月 | 収穫開始 | 毎日収穫するけどまだ量は少ない ちょっと休める |
8月 | 出荷量のピーク | 何もかもが忙しい 休める訳がない |
9月 | まだまだ多い出荷量 | 残暑でまだまだ忙しい 休める訳がない |
10月 | 出荷が2日に1回に減る | 急に出荷量が減る ちょっと休める |
11月 | 中旬頃に出荷終了&片付け開始 | コツコツと畑の片付け そこそこ休める |
12月 | 雪が降る前に片付けて農閑期へ | 片付けラストスパート かなり休める |
4月に苗の世話を始めてからは1日丸々休みの日は少ないのですが、作業に余裕があるときは1日の作業量が少なくなります。
実際に終日休みになるのは12月から3月の下旬頃までなので、3ヶ月程度の休日があることになります。
サラリーマンの年間休日数は平均で100~120日程なので、トマト農家の休める日数は実はサラリーマンと同等かやや少ないくらいなんです。(※我が家の場合)
ただし、繁忙期には1日10時間以上働く日が続くので、休みが多いと思うか少ないと思うかは人それぞれ違うかもしれませんね。
トマト農家は冬の長期休みに何をしているのか
トマト農家は年間の休日を冬の間に一気に取っているのですが、長い休み期間に何をしているか気になる方もいるのではないでしょうか。
そもそも夏の間の稼ぎだけで生活していけるのかも疑問だと思います。
冬の休み期間の間の過ごし方は農家ごとに違いますが、基本的には下記のようなことをしています。
- 短期のアルバイト
- その他の副業
- 春まで遊ぶ
やはり冬の間も稼ぎが合った方が生活は楽になるので、アルバイトや副業で収入を得ている方が多くいます。
ですが、正直トマト農家は夏の売上が確保できていれば冬は働かずに生活できてしまうんです。
なので、夏に頑張った分冬はだらだらしたり、思う存分好きなことをしたりして過ごす農家も少なくないですね。
僕もブログやライター活動など在宅の副業をしていますが、正直やらなくても生活に困ることは・・・(^_^;)
まとめ【トマト農家は冬に一年分の休みを取る】
農家は休みがないイメージを持たれがちですが、トマト農家の場合は冬にまとまった休みの期間があります。
中には休みがなかなか取れない農家もいますが、トマト農家の場合で言えば、夏にがっぽり稼いで冬には好きなことができてしまうんです。
「そんなに長い連休があって羨ましい!」と思うかもしれませんが、夏は無休で働いていることを考えると良し悪しではないでしょうか。
トマト農家には長期の休みがありますが、その休み方、働き方に満足しているかどうかは農家によって感じ方が違ってくるんです。
下記の記事でも書いたように、僕の周りでは好きでもないのに農業をして後悔している人もいるくらいですから。
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