農家の長男は家業である農業を継がないといけないのか。
僕も農家の長男に生まれた身なので、家業を継ぐべきか悩んでいる方の気持ちはよくわかります。
本記事は、農家の長男として家業を継がなければならないプレッシャーを感じている方に、家業を継がない選択肢もあるということを伝えていきます。
農家の長男が家業を継ぐ考えは古い
いきなりですが、「農家の長男が家業を継ぐのが当たり前」という考えは捨てた方がいいです。
たしかに昔は農家の長男は後を継ぐものだったかもしれませんが、今では継がない、無理に継がせないという農家も多いんです。
あなたが継がなくても他に誰かが畑を借りて継いでくれるかもしれませんし、もし後継ぎがいなくなってもそれはそれで仕方ないじゃないですか。
僕はトマト農家の長男として生まれ、家業の後を継いでいますが、親からは継いでほしいと言われたことは一度もありませんでした。
中にはどうしても長男に継いでほしいという農家もいるのかもしれませんが、農家の長男であるあなた自身も、自分の意思を強く持って決めていいんです。
農家の長男でも嫌なら継がない方が良い
たとえあなたが農家の長男だとしても、家業を継ぎたくないと思っているのであれば絶対に継がない方がいいです。
農業はやりたくもない人が嫌々やると苦痛でしかないからです。
そんな理由だけで農業はするものではないと思います。
「親を悲しませたくない」「楽をさせたい」という気持ちは痛いほどわかりますが、自分が継ぎたくないなら継がないと伝えるべきです。
もう一度言いますが、農業は嫌々やると本当に苦痛ですよ。
僕の周りにも渋々と家業を継いだ農家の長男で、後悔しながら畑仕事をしている農家仲間がいるんです。
農家の長男だからといって今すぐに継ぐ必要はない
という方もいるのではないでしょうか。
今はまだ継ぎたくないのであれば、しばらくは自分のやりたいことに専念するのも僕はありだと思います。
実際に僕の周りでは、まずは就職や好きなことをして、その後に家業を継ぐという方も多くいます。
家に帰ってきて家業を継ぐタイミングは人それぞれですが、50歳をすぎてから農業を始める方もみえました。
農家の長男だからといってすぐに継ぐ必要はないので、やりたいことがある方は必ず家業を継ぐ前にやるべきです。
農家の長男が親を納得させて家業を継がない方法
農家の長男で後を継ぐか悩んでいる方は、親から継いでほしいと言われている方がほとんどではないでしょうか。
「農家の長男でも嫌なら継がなくてもいい」「好きなことを先にしていい」なんてこの記事で言われたところで、簡単にうまくはいかないことは僕も分かっています。
本当に農業をやりたくなくて継がないと決めている方や、継ぐつもりはあるけどまだ好きなことをする時間がほしいという方は、まずは親を納得させなければなりません。
直接親と話し合うのが一番ですが、その際に納得してもらいやすくなる方法を紹介しますね。
心の底からやりたいことを見つける
家業を継ぎたくないのであれば、継がない代わりに自分が心の底からやりたいと思えることを見つけるべきです。
「やりたいことがあるから農業はできない」とはっきり伝えることで、親も長男に無理やり継がせるわけにはいかないと納得してくれるかもしれません。
農家の仕事を知る
あなたは家業を継ぎたくないのだと思いますが、農家の仕事はどういったものなのか体験したことはありますか?
農業をイメージだけで嫌っているのであれば、一度でいいので親と一緒に仕事をしてみることをおすすめします。
「なんとなくやりたくない」よりも、「やってみたけどだめだった」のほうが納得されやすいですよね。
親としても、長男が農家の仕事を知らずにいるより、知ってくれているほうがきっと嬉しいはずです。
家族で本音を話し合う
結局これが一番大切なのですが、家業を継ぐにしても継がないにしても、家族で本音を話し合いましょう。
あなたが家業を継ぎたくないと話したことがないのであれば、もしかすると家族はそのことに気付いていないのかもしれません。
まずはの農家の長男としてのプレッシャーを抱え込まないように、家族に打ち明けて本音で語りあえる場を作ってみましょう。
案外親も長男にプレッシャーをかけまいと、実は継がない選択肢を与えようとしてくれているのかもしれません。
トマト農家の長男として生まれた僕の実体験
ここからは、トマト農家の長男として生まれ、家業を継ぐに至った僕の経験を簡単に書きまとめたいと思います。
農業を継ぎたくないと考えている方とは当時の心境は違いますが、参考になるところが少しでもあればと思い、ここに書き起こします。
初めは継ぎたくなかった
今では家業を継いで農業を楽しんでいる僕も、実は農業を継ぎたくなくて農家の長男としてのプレッシャーを感じていた時期がありました。
夏は毎日畑に行って、汚れて帰ってくる父を見て、なんだか地味で大変な仕事だと思っていたからです。
高校2年生まで農業を継ぎたくない時期が続いていたので、農家の長男として皆さんの気持ちはよく分かっているつもりではあります。
高校生の頃に農業に興味を持った
農家の長男としてプレッシャーを抱えていた僕ですが、進路を決める高校2年生の頃に農業に興味を持つことになります。
当時は商業科でパソコンを使った勉強を主にしていましたが、農業を継がなければならないと頭にはあったので、数日家業の手伝いだけでもしてみることにしたのです。
そこで農業の地味なイメージとは裏腹に、魅力を感じてしまいました。
僕の場合は、ただ農業を知らずにイメージだけで継ぎたくないと思っていたんです。
「農家の長男だから」ではなく自分の意志で継ぐことを決めた
農業も悪くないなと思い始めた頃、進路に迷っていたこともあり、農業の専門学校に行くと軽い気持ちで決めてしまいました。
それを親に伝えた時は、「大変やでやめとけよー」とだけ言われ、家業を継ぐことを強制されていないことに安心しました。
しかし、その頃には農業の魅力を知り、農業をやってみたいと思うようになってしまっていたのです。
僕は親にやめておけと言われながらも、結局は嫌いだった農業の道に自分の意志で進むこととなりました。
周りには家業を継いで後悔している農家もいる
僕の場合は農業が合っていたようで今では毎日が充実しているのですが、中には全く楽しくなさそうに仕事をする後継者もいます。
きっと彼らは、継ぎたくなかった農業を、継がなければならないものと思って仕方なく農業をしているのでしょう。
農業はやっぱり嫌いな人がやるものではありません。
僕の経験談を聞いて家業を継ぐつもりになってきたとしても、本当に後悔しないか、本当に農業に興味があるのか、もう一度考えてみてください。
まとめ【農家の長男が無理に継ぐ必要はない】
農家の長男は家業を継がなければならないという決まりなんてないんです。
「自分がやりたくなければ、たとえ農家の長男だって家業を継がない」それでいいと思います。
僕も、将来自分の子供には後を継ぐことを強制したくありませんし、「継いでくれたら嬉しいな~」くらいに考えようと思っています。
「農家の長男だから後を継がないと・・・」と悩んでいる方は、まずは継がない選択肢を作るために、家族と話し合ってみてはどうでしょうか。