「自分に農業は向いているのだろうか」「就農しても良いのだろうか」
農業を仕事にしたいと考えている人が、誰もが一度は悩むことでしょう。
僕は今でこそトマト農家として充実した日々を過ごしていますが、同じように悩んだことがありました。
本記事では、自分に農業が向いているのか悩んでいる人に向け、農業が向いている人の特徴や就農する前にやるべきことを、農家である僕の経験を元に述べていきます。
農業の仕事内容とは?
自分に農業が向いているかどうか判断する前に、農家の日々の仕事内容について知らない人も多いのではないでしょうか?
農業は種を撒いて収穫するだけの単純な仕事ではなく、実は山のような量の作業をこなす必要がある仕事なのです。
農業を仕事としたときの、具体的な仕事内容は下記の通りです。
- 土作り
- 種まき・定植
- 作物の管理作業
- 収穫・出荷
大まかな作業だけを挙げましたが、それぞれの作業はさらに細かい仕事にわけることができ、ここでは書ききれないほどの仕事があります。
特に作物の管理作業は、水や肥料の調節、病害虫の防除、整枝や摘葉など、育てる品目によって必要な仕事内容が変化するものです。
ここで挙げた農業の仕事内容は、決して派手やかなものではなく、どちらかというと地味な作業ばかりに見えるかもしれません。
しかし、そんな農業の仕事が向いていて、誇りを持ちながら楽しんで取り組める人もいるのです。
次の章からは、農業が向いている人の特徴を挙げていくので、あなたには農業が向いているのか、自分自身と向き合いながら読み進めてみてください。
農業が向いている人の特徴
農家の僕が考える、農業が向いている人の特徴は下記の通りです。
- 計画性がある
- 自分で考えられる・調べられる
- 試行錯誤できる
- 人とコミュニケーションを取るのが得意
- とにかく自然や育てることが好き
それぞれの特徴がどのように農業に役立つのか、順に解説していきますね。
計画性がある
農業は、作業の遅れがそのまま収穫量や売上の減少に繋がってしまいます。
あらかじめ年間のスケジュールを立てておき、計画通りに作業を進めることができる人は、農業が向いているでしょう。
自分で考えられる・調べられる
これは農業に限ったことではありませんが、疑問に思ったことや、問題となったことをどれだけ探求できるかが大切です。
農業は特に生き物を相手にする仕事であり、絶対的な正解があるわけでもなく、自分で考えたり調べたりして問題解決をしていかなければなりません。
人に聞いてばかりで、自分から探求することができなければ、農業で成功するのは難しいかもしれません。
試行錯誤できる
高い栽培技術を持っている農家は、毎年の栽培に必ず新しい技術を取り入れようとします。
天候や環境が毎年違う自然の中で、毎年同じような方法で栽培をしていても収穫量の増加には繋がりません。
ある程度の栽培技術を持っていたとしても、環境の変化に対応するために試行錯誤を続ける必要があるのです。
人とコミュニケーションを取るのが得意
農業は一人で黙々と作業をするイメージがあるかもしれませんが、実は人と関わる場面が多くあります。
特に、農家同士で仲良くなることができれば、新しい栽培技術や品種などの情報を多く仕入れることができるでしょう。
農業においても、情報量は武器になります。
とにかく自然や育てることが好き
いくら農業が向いている人でも、好きでなければ長くは続けられません。
僕と同年代の農家にも、嫌々と親元就農をして後悔している人がいます。
自然が好きで、育てることを仕事にしたいと思っている人は、それだけで農業の適性があるとも言えますね。
農業が向いていない人の特徴
前章で述べた農業が向いている人の特徴とは反対に、農業が向いていない人の特徴は下記の通りです。
- 探求心がない
- 人と接するのが苦手
- 同じ作業の繰り返しが飽きやすい
- 農家の生活がゆったりとしたスローライフだと思っている
こちらも順に解説していきます。
探求心がない
農家の収入は、探求心の強さで大きく増減する可能性があります。
どれだけでも多くのことを試し、自分の畑に合った栽培方法を見つけることで、収穫量の増加に繋がるからです。
探求心がなく、毎年同じ事しかできない人では、正直農業で稼ぐことは難しいかもしれません。
人と接するのが苦手
前章でも述べましたが、農業は人と接する場面が意外と多くあり、そこから得られる情報が経営や栽培においても非常に重要です。
人と接するのが苦手で避けてしまう人では、せっかくのチャンスを失ってしまうことになるでしょう。
同じ作業の繰り返しが飽きやすい
農業の仕事内容は、基本的には同じ作業の繰り返しです。
そして、単純な作業をどれだけ根気よく続けられるかで、作物の収穫量は決まります。
もちろん新しい栽培技術はどんどん取り入れていく必要がありますが、基本的な作業は同じなので人によっては飽きてしまうかもしれません。
飽き性な人は、農業をしても面白さを感じにくく、収入の増加も見込めないでしょう。
農家の生活がゆったりとしたスローライフだと思っている
農家と言えば、自然のなかでゆったりとした生活をしている、というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、実際の農業は、多忙な時期は休むことなく畑に行って農作業をします。
夢を見て農業始めるのは素晴らしい事ですが、現実とのギャップがありすぎると挫折しやすくなってしまうでしょう。
農業が向いていると思って始めたのに後悔する場合も
ここまでの内容で、「自分には農業が向いている!」と思った方も、勢いで農業を始めるのはおすすめしません。
農業に魅力を感じて始めた人でも、「やっぱりやらなければよかった」と後悔することになった人が多くいるのです。
後悔するだけならまだしも、経営が上手くいかず、就農して数年で離農する人も少なくありません。
農業は、「自分は向いているみたいだし興味がある」という軽い考えで始めてはいけない仕事だと僕は思っています。
本記事を読んで、本気で農業がやりたいと思えた方は、就農前にやるべきことをまとめた次の章も必ず読んでいってください。
農業が向いている人でも就農前にやるべきこと
本記事を読み進めてきたことで「自分には農業が向いている」と感じ、実際に農業を始めたいと思っている方もいるのではないでしょうか。
本気で農業を始めたいという方は、就農をする前に、次の3つのことをやっておくことをおすすめします。
- 農業を知る
- 師匠(農家)を見つける
- 十分な就農計画を立てる
3つの就農前にやるべきことの、具体的な効果について順に解説していきます。
農業を知る
「農業を知るってどういうこと?」と感じた方も多いかもしれません。
農業とは野菜や家畜を育てる仕事、ということは誰もが知っていると思いますが、それだけで農業を知っているとは言えないんです。
農業は儲かるのか、地元は何の産地なのか、どこに出荷するのか、など農業全般の知識を勉強して少しでも増やしておきましょう。
直接役に立たなくても、農業の知識があるだけで様々な場面での選択肢を増やすことができます。
師匠(農家)を見つける
農家の栽培技術や新品種などの情報収集先は、ほとんどが農業関係の人や仲の良い農家になります。
特に、困ったときに助けを求めることができるベテランの農家と繋がっていれば、就農の壁は圧倒的に低くなるでしょう。
僕自身も、困ったときに連絡を取れる先輩農家さんや、同期の農家達には助けられてきました。
どうしても一人の知識だけでは限界があるので、就農する前に他の農家さんに挨拶に行ったりして、師匠となる人を見つけておくといいですね。
十分な就農計画を立てる
「自分には農業が向いているはずだ!」そう思って就農したのに、離農することとになってしまう人が多くいます。
その理由の一つが、思っていたような収入を得ることができなかったことにあるのです。
自分が農業でどれくらいの収入を得られるのか、どれくらいの規模で経営したら生活がしていけるのか、あらかじめ十分な計画を立てておくことが重要です。
ただ計画を立てればいいだけではありません。
後々困らないように、現実味のある就農計画を立てることが農業で成功する第一歩になります。
まとめ【農業は向いている人が成功するとは限らない】
「自分はやっぱり農業が向いているんだ!」
「脱サラして農業をやろうと思っていたけど自分には向いてなさそう・・・」
本記事を読んで、農業に対して前向きになった方も、そうでない方もいることでしょう。
しかし、自分に農業が向いている、向いていないは、就農するかどうかの絶対的な基準にはならないのです。
農業が向いている人も、十分な準備をしないまま就農したら失敗してしまうかもしれません。
逆に、自分は農業が向いていないと感じても、農業に対するやる気が人一倍あれば十分農業界で戦っていけます。
農業が向いている人、向いていない人の特徴を挙げてきましたが、それに関係なく誰でも農業で成功する可能性はあるんです。
少しでも農業を始めようか悩んでいるのなら、まずは農業をもっと知ることから始めてみませんか?
農業の本や僕のブログ記事を読んでみたり、SNSなどで直接、僕や農家さんのアカウントに質問することが必ず就農のヒントになりますよ。