トマトの実を確実につけるためにはトマトトーンの使用が一番効果的であり、トマト農家でも重宝されています。
ただし、トマトトーンは正しい使い方で散布しなければ、効果が出ないどころかトマトに害を与えてしまう可能性があるのです。
実際にトマトトーンを使用しているトマト農家の僕が正しい使い方を解説していくので、読み進めてトマトトーンの使い方をマスターしてみてくださいね。
トマトトーンにはどんな効果があるのかまだ把握できていないという方は、下記の「トマトトーンとは?」という記事を先に読むとことをおすすめします。
トマトトーンとは?【効果やメリット・デメリットを徹底解説!】
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トマトトーンは原液とスプレーの2種類から選んで使える
トマトトーンの使い方の解説の前に、あなたが使用するトマトトーンは原液とスプレーのどちらのタイプでしょうか?
どちらもトマトトーンとしての効果は同じですが、原液タイプは水で薄めて使い、スプレータイプは購入後のまますぐに使える、という特徴があります。
原液タイプのものは100倍程度に希釈して使うので、スプレータイプよりコスパが良く、育てているトマトの株数が多くてトマトトーンの使用量も多い人におすすめです。
原液を希釈して作ったトマトトーンは霧吹きなどに入れて散布するので、霧吹きもあわせて購入しておくといいですね。
スプレータイプは原液タイプのものより価格が高くなってしまいますが、すぐに使えて濃度も間違えることがないのでちょっとした家庭菜園やトマト栽培初心者の方はまずはこちらを使いましょう。
原液タイプを使う場合のトマトトーンの作り方
もしスプレータイプではなく原液タイプのトマトトーンを使う場合、下記にあるような正しい方法で希釈して作るようにしましょう。
気温によって希釈倍率を変えて作る
トマトトーンは決まった希釈倍率があるわけではなく、使用する時期の最高気温によって倍率を変えて作ります。
気温に合わせた希釈倍率の目安は下記の通りです。
- 20度以上 ➡ 100倍
- 20度以下 ➡ 50倍
基本的にトマトトーンは気温が高い時は薄めに作り、低い時は濃い目に作ると効果が高くなります。
高温時に濃すぎると空洞果(形の悪い果実)ができやすくなり、低温時に薄すぎると実がつきにくくなるので正しい倍率で作るようにしましょう。
特に近年の夏は35度を超える猛暑日が当たり前になってきており、高温時の空洞果が発生しやすいので、心配な方は少し作りにくいですが120~150倍にしてみると良いでしょう。
かけた花が分かるように食紅を混ぜてもOK
トマトトーンを一度かけた花は二度目をかけてはいけないのですが、かけた花を覚えておかなくてはなりません。
どの花にトマトトーンをかけたのかわからなくなってしまうという方は、トマトトーンに食紅を混ぜて作るのがおすすめです。
食紅は食べても問題ありませんし、トマトにも特に害はないので、トマトトーンをかけた目印として非常に役に立ちます。
トマトトーンの正しい使い方
ここまでの内容でトマトトーンを使う準備が整うので、続いてトマトトーンを使う正しいタイミングや正しい使い方を解説していきます。
1花房に3花咲いた時がベストタイミング
トマトトーンはトマトの花に散布することで高確率で実をつけることができますが、散布のタイミングを失敗すると正しい効果が得られません。
基本的には、1花房の花が3花咲いた時に散布するのがベストタイミングです。
3花以下だと咲いていない花には効果が出ず、3花以上咲くのを待っていると最初に咲いた花が着果時期を逃して枯れ落ちてしまいます。
大玉トマトは1花房に1回の散布、中玉・ミニトマトは1房の花数が多いので、3花程度咲くごとに1房を数回に分けて散布すると良いでしょう。
トマトトーンの散布方法
トマトトーンを花に散布する時は、花以外の場所にかからないようにスプレーを持っている反対の手で花房を覆って散布するようにします。
花にはしっかりとトマトトーンが付着する必要があるので、シュッシュッと2回かけると確実ですよ。
トマトトーンに食紅を入れている場合は散布した花に色がついて分かりやすいですが、入れていない場合は花房に輪ゴムをかけるなどして散布済みの目印を付けておきましょう。
トマトトーンを使うときの5つの注意点
トマトトーンは前章で解説したように、花にかけるだけなので簡単に使うことができますが、下記の5点に注意が必要です。
注意すべきポイントを知らないと、下記の記事にもあるように、トマトに悪影響が出てしまうこともあるので気を付けましょう。
トマトトーンの失敗による症状とやりがちなミス【対処法も解説!】
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適切な濃度に薄める
水に薄めて使う必要がある原液タイプを使う場合は、前述した希釈倍率を必ず守って使うようにしましょう。
濃すぎても薄すぎても効果が出にくく、最悪の場合トマトの成長を止めてしまうことになります。
花以外にかけない
トマトトーンをまだ小さな葉や生長点などにかけると、葉っぱが縮れたり生育が止まったりする「薬害」が出ることがあります。
トマトトーンの散布をするときは、花以外にかからないように必ず片方の手で覆って散布するようにしましょう。
正しい時間帯に使用する
トマトトーンの散布はできるだけ午前中のうちにやると最も着果効果が高くなります。
真夏の昼間のような高温時や、花がしぼんでしまう夕方から早朝などは、トマトトーンの着果効果が十分に発揮されない可能性があります。
特に、真夏はできるだけ涼しくて花が開いているうちにかけたいので、午前中の散布がベストです。
同じ花に二度がけしない
一度トマトトーンをかけた花は決して二度目をかけてはいけません。
二度掛けしてしまうと奇形果になるリスクが高まってしまいます。
トマトトーンをかけるとすぐに実がつくのでなく、数日経ってやっと小さな実が見えてくるので、すぐに実がつかないからと焦って二度がけするのは避けましょう。
目に入らないようにする
トマトトーンは植物ホルモンなので毒性が強い薬品ではありませんが、目には刺激が強い成分になっています。
普通に散布する分には問題ありませんが、風が強かったり、勢いの強い霧吹きを使ったりしている場合は注意が必要です。
もし目に入ってしまった場合は、トマトトーンの薬液がついた手で触らないように、水で洗い流しましょう。
心配な方は、サングラスやゴーグルなどをつけてトマトトーンの散布をしてみてください。
トマトトーンにジベレリンを入れるとトマトの形が良くなる
ここまでの内容を実践できればトマトトーンの使い方はバッチリなのですが、下記の記事にもあるように、トマトトーンは空洞果の発生を助長させるデメリットがあります。
トマトトーンとは?【効果やメリット・デメリットを徹底解説!】
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そこで、ジベレリンと混用してトマトの形が悪くなってしまう空洞果の発生を抑制する方法を解説しますね。
ジベレリンとは
ジベレリンはトマトトーンと同じく植物ホルモン剤の一種であり、主にぶどうの粒を大きくするために使われています。
ジベレリンをトマトトーンに混ぜると、果実の肥大が安定してトマトの空洞果が発生しにくくなるのです。
薬品を混ぜるのは怪しいと感じる人もいるかもしれませんが、トマト農家では当たり前に使われている有効なホルモン剤なんです。
トマトトーンとジベレリンの混用方法
ジベレリンは5~10ppm入れて使用するのが基本ですが、なかなか計算しずらい単位ですよね。
計算した値を出すと、トマトトーンを溶かした液体1Lに対してのジベレリンの量は10mgになります。
正直、10mgなんて量は高性能な電子測りを使わない限り測ることができません。
なので、もしジベレリンを入れるのであれば1L以上のトマトトーンを作り、そこにほんのひとつまみ程度入れるようにするしかないです・・・
多少入れすぎてもトマトが枯れるほどの害はでないので、空洞果悩んでいる人は使ってみるのもいいかもしれませんね。
トマトトーンの保存方法と使用期限
トマトトーンは多くのトマトを育てるトマト農家でない限り毎日使うことはないので、正しい方法で保存しておかなければなりません。
トマトトーンは基本的に冷蔵庫で保存すると最も長く保存でき、未開封の原液であれば5年程度は有効期間があります。
スプレータイプのものを買った場合は、冷蔵庫に置いていても1年しか保存しておけないので、できれば毎年買い替えたほうが良いでしょう。
そして、保存方法と使用期限で最も注意が必要なのが原液を希釈して使用する場合です。
原液を水で薄めて薬液を作った場合は最長でも1ヶ月ほどしか効き目がなく、確実に効き目を出したいのであれば作って3週間以内の物を使うことをおすすめします。
育てているトマトの株数が少ない場合は原液を薄めて作っても残る可能性が高いので、毎年スプレータイプを買った方が使いやすく、確実に効果が発揮できますよ。
まとめ【トマトトーンは正しい使い方で失敗を避けよう】
トマトトーンはトマト栽培の必需品であり、家庭菜園でも必ず使った方がいい商品です。
正しく散布することができればトマトの実がなりやすくなり、トマトトーンを使わない場合よりも収穫量が増加します。
しかし、トマトトーンの使い方を間違えてしまうとトマトには害があり、せっかく散布したのに効果が出なかったり、トマトの成長を止めたりしてしまいます。
- 適切な濃度で薄める
- 花以外にかけない
- 正しい時間帯に散布する
- 同じ花に二度掛けしない
上記の4つを守りながらトマトトーンを使えば、失敗を避けることができ、確実な効果を得られるでしょう。
あとトマトトーンを使用する際は、目や口に入らないようにも注意してくださいね。
もし入ってしまったとしても毒性が高い薬品ではなく、落ち着いて洗い流せば何も問題はないので安心して使ってみください。
本ブログではこの記事以外にも、トマトトーンに関する記事を多数執筆しているので、続けて読んでトマト栽培に役立ててみてくださいね。