ミニトマトの品種『千果』は、トマト農家も使用するプロが育てる品種でありながら、家庭菜園にも非常におすすめです。
トマト栽培初心者でも育てやすく、高糖度で食味も良いので、家庭菜園に向いていないわけがありません。
本記事では、そんなミニトマト『千果』の特徴や育て方について詳しく解説していきます。
- 「千果」の果実と生育のそれぞれの特徴
- 「千果」の育て方
- 似ている品種「CF千果」との違い
- 「千果」と「CF千果」はどちらを育てるべきか
- 夏秋トマトの大産地で、成績上位10%に入るトマト農家です
- トマトに関してはそこそこ詳しいと思っています
ミニトマト『千果』の特徴
最初に、ミニトマトの品種『千果』の「果実の特徴」と「生育の特徴」について解説します。
千果の果実の特徴
- 果重は15g~20gと一般的なミニトマト
- 果形はきれいな球形
- 濃い赤色でツヤがある
- 糖度は8~10度
- 低段から糖度が高く、食味に優れる
千果は、よくあるミニトマトの大きさ・果形をしていて、ツヤがあるきれいな赤色です。
低段のうちから糖度が高く、食味も良いので、サラダや料理の付け合わせなど、生食にはもってこいの品種ですね。
味は文句なしの「美味しいミニトマトの品種」と言えるでしょう。
千果の生育の特徴
- 育てやすく、家庭菜園にもピッタリ
- 樹勢はやや強め
- 低段の花数が少なめ
- 異常茎(めがね)が発生しにくい
- 生育が非常に早く、低温期でも育ちやすい
- モザイクウイルス、萎凋病、ネコブセンチュウなどに耐病性がある
千果の樹勢はやや強めで扱いやすく、樹勢の管理が難しい低段は花数が少なく、樹勢のバランスがとりやすいです。
また、強樹勢のときに茎が裂けてしまう「異常茎(めがね」も発生しにくく、全体的に育てやすい品種となっています。
異常茎の詳しい症状や原因・対策については、以下の記事をご覧ください。
【トマトの茎が裂ける】異常茎(めがね)の症状・原因・対策を解説!
「トマトの茎がなかなか伸びていかない」「成長が止まって茎が縦に裂けてしまった」 トマト栽培中に『異常茎』という上記のような症状が出ることがあります。 茎が縦にさけて穴があき、八の字のように見えることか ...
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生長速度も非常に早く、育ちが悪くなる春や秋などの低温期でも、しっかり育ち、収量を確保できるでしょう。
育てやすく、ハウスで保温ができない低温期でもしっかり育つので、家庭菜園に最適の品種なんですよ。
ミニトマト『千果』の育て方
千果はミニトマトの品種の中でも育てやすいため、一般的なミニトマトの育て方で問題ありません。
具体的な千果の育て方は下記の通りです。
- できるだけ雨よけをする
- 3~4段開花頃から追肥を始める
- 1回あたりの追肥量は少なく、多回数に分けて追肥する
千果は、裂果に特別強い品種ではないので、できるだけ雨よけをして栽培することをおすすめします。
簡易的な雨よけハウスだけでも建てておくと、雨が降った時の裂果を激減させることができるのです。
その他の育て方についても、一般的なミニトマトの栽培方法で問題ありません。
千果に限らず、トマトはこまめに少しずつ追肥をすると生育が良くなるので、1回の追肥で肥料を入れすぎないように気を付けてみてください。
葉カビ病に強い『CF千果』もある
実は、千果とほぼ同じ特徴を持ち、千果にはなかった葉カビ病の耐病性を持つ「CF千果」という品種もあるんです。
千果とCF千果はほぼ同じ特徴を持っていますが、少しだけ異なる点もあります。
育て方も多少違ってくるので、次の章からは、千果とCF千果の特徴や育て方の違いについて解説していきます。
千果とCF千果のどちらを育てるかで迷っている方の為に、どちらを育てるべきか後述しているので、読み進めて確認してみてください。
『CF千果』の『千果』と違う特徴
- 葉カビ病の耐病性がある
- 栽培中盤から後半にかけてスタミナが持続する
- 千果よりも異常茎(めがね)が発生しやすい
CF千果は葉カビ病の耐性があるので、葉カビ病で株が枯れてしまうことはほぼありません。
樹勢は栽培後半まで維持しやすいので、千果よりも後半の収量が確保しやすくなります。
しかし、千果よりも強樹勢のときに異常茎(めがね)が発生しやすいので、樹勢のバランスを取ったり、異常茎の対策をしたりする必要があります。
異常茎の対策は、以下の記事で詳しく解説されているので、CF千果を栽培する際にはチェックしておきましょう。
【トマトの茎が裂ける】異常茎(めがね)の症状・原因・対策を解説!
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『千果』と『CF千果』どちらを育てるべきか?
『千果』と『CF千果』では、多少の特徴の違いはあるものの、ほとんど同じような性質を持っています。
どちらを育てた方がいいのかはっきりさせたいところですが、正直私は、どちらでもいいと思うんです。
ただ、しいてどちらかおすすめするのであれば、「千果は露地栽培」「CF千果はハウス栽培」といったところでしょうか。
千果は異常茎が出にくいので樹勢の調節が難しい露地栽培に、CF千果は葉カビ病に強いので、葉カビ病が発病しやすいハウス栽培にそれぞれおすすめします。
どちらがいいのかおすすめはしてみたものの、家庭菜園では正直大差ないと思うので、苗を選ぶときに見つけた方を育てればいいと思いますよ。
まとめ【千果は家庭菜園にも超おすすめ】
ミニトマトの品種『千果』の特徴や育て方について紹介してきましたが、千果の良さは何と言っても育てやすいということ。
トマト農家も取り扱っているくらい味の良い品種でありながら、家庭菜園でも簡単に育てられる良品種です。
味が良く育てやすいのであれば、家庭菜園には持ってこいですよね。
トマトの苗が出回るシーズンになると、千果の苗はほぼ確実に並んでいるはずなので、ぜひ家庭菜園で育ててみてください。
最後に、本ブログ「もこっとおにぎり」では、トマト農家の私が、トマトに関する知識が詰まった生地の更新をしています。
今回のようなトマトの品種紹介や、トマトの育て方、トマトの病害虫などについて書いているので、トマト栽培で困ったことがあればいつでも遊びに来てくださいね。